医療法人設立、定款変更、分院設置、役員変更、診療所移転、外部監査、事業承継、従業員の離職防止等・・・

医療法人の専門家が貴医院の悩み解決いたします!

トップ > 医療法人設立Q&A > 一般社団法人設立によるクリニック開設手続きで医療法人化が不要になる?

一般社団法人設立によるクリニック開設手続きで医療法人化が不要になる?

23016597_s.jpg

医療法人でなく、一般社団法人でクリニックを運営することはケースによっては可能です。

但し、難易度は非常に高く、医療法人設立と同じぐらいの労力と費用がかかります!

医療法人化以外のクリニック法人化方法としての一般社団法人設立

個人開設のクリニックを法人化する場合、医療法人を設立するのが一般的です。

しかし、上記の法人化については、「一般社団法人設立」という裏技があります。

一般的にはあまり知られていませんが、平成20年年12月1日施行の「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」により、法律上は、一般社団法人や、一般財団法人での医療機関(クリニックや病院)の開設が可能になりました。

これはこれで大変ではありますが、うまくやればかなりメリットの多い制度ですので、クリニックの医療法人化を検討されている院長先生は是非一度医療法人化に踏み切る前に検討いただければと思います。

一般社団法人でクリニックを開設する方法

では、一般社団法人を設立する形でクリニックを法人化するにはどのような手続きをとてばいいのでしょうか。

まず、医療法人の場合は、➀都道府県の認可 → ②法務局への登記 → ③保健所の開設許可 → ④開設届 → ⑤厚生局への届出(※保険診療を行う場合)という長い手続きを行ってはじめて診療をスタートすることができます。

この中で最も大変なのが①であり、➀の都道府県の認可をもらうためには沢山の書類を提出し、都道府県の担当者とたくさんのやりとりを行い、厳しい審査を受けた上でやっと認可されます。この手続きには通常半年程度かかります。

それに対して一般社団法人の場合は、➀の都道府県の認可は不要です。したがって、書類作成と登記のみで設立できます。

そして、その後③~⑤の手続きを行えば医療機関としての活動ができますので、スタートまでの期間、労力が大幅に削減できます。

22928512_s.jpg

一般社団法人でクリニックを開設する場合のメリット

では、医療法人でなく、一般社団法人で医療機関を開設する場合のメリットは何でしょうか。


1. 一般社団法人は書類作成と登記のみで設立することができ、都道府県の認可が不要なので、早く法人化が可能

一般社団法人設立の場合、早ければ3か月程度で法人による医療機関の運営を開始できます。

一方、医療法人は少なくとも半年~1年かけて準備を行っていく必要がありますので、期間を大幅に短縮できます。


2. 一般社団法人は医療法人に課されている様々な規制を受けない

医療法人は公益性を重視されておりますので、株式会社など他の法人と比べ、非常に厳しい規制があります。

具体的には、例えば次のような規制です。

① 毎年の資産額変動登記、事業報告の義務がある

→医療法人設立した場合、決算後に事業報告や毎年の資産額変動登記の義務があります。そのため、確定申告して終わりではなく、その後にも様々な書類を作成し、提出する必要があります。

②本業や附帯事業以外の業務ができない業務制限がある 

→医療法人は、診察や治療等の医療行為と医業に関連する附帯業務(介護事業等)しか行えません。


③ 定款変更には認可が必要

→医療法人の場合、例えば決算期の変更等の軽微な定款の変更でも定款変更認可が必要で、一般社団法人や会社等とくらべ、手続きが非常に面倒になっています。さらに、分院設置やクリニックの移転の場合も手続きが非常に大変です。


④ 資産運用の方法に制限がある

→一般社団法人の場合、法人で自己資金で不動産投資や株式投資、FX投資等を行うことが可能です。

しかし、医療法人では上記のような資産運用は認められておりません。

⑤ 理事長は医師又は歯科医師でなければならない

→医療法人の代表は原則として理事長は医師又は歯科医師でなければいけませんので、一般の方は原則として医療法人の理事長にはなれません。

逆に、一般社団法人であれば、上記のような医療法人にかかる規制を外せるという大きなメリットがあります。

また、やり方によっては、税制上もメリットを受けられます。

ですので、一般的には医療法人設立するより一般社団法人設立し、医療機関を運営したほうがメリットは大きいと思います。

個人クリニックを一般社団法人化する場合のデメリット

では、逆に個人クリニックを一般社団法人化する場合のデメリットは何でしょうか?

①前例がないため、保健所の開設許可が下りにくい

これが一番の難関であることは間違いないと思います。

医療機関の開設は、開設地を所管する保健所の審査をうけます。医療法人でクリニックの開設許可申請をした場合、1~2週間で許可されるのが通常です。

これは、医療法人は認可の段階で非営利性等のチェックを受けているからです。

しかし、一般社団法人でクリニックの開設許可申請をした場合、事前にそのようなチェックはなく、保健所は開設許可にあたり、かなり難色を示すのがほとんどです。

これは今のところこの方法があまり知られていないからです。

つまり、管轄の保健所に前例があまりないために、前例が無いなどの理由で医療機関の開設を断られたり、開設に時間がかかることが多く、一般に、交渉や説明にかなりの時間を要することになります。

また、審査の段階で非営利性等の点につき、厳しく調査されるため、それに耐える書面を事前に作成する必要があります。

そのため、一般社団法人でのクリニック開設手続きは、医療法人設立並みに複雑で高度な法的知識が要求されるもので、素人が生半可な知識でできるものではない高難度業務であると考えたほうがよろしいかと思います。

②営利型一般社団法人では開設許可が下りない

一般社団法人でのクリニック開設は徹底した非営利性が求められますので、保健所で開設許可が認められうるのは非営利型一般社団法人のケースに限られます。営利型一般社団法人では開設許可が下りませんので注意が必要です。

 具体的には、定款に以下の規定が必要です。

①理事の親族等である理事の合計数が理事の総数の3分の1以下であること
②剰余金の配当禁止規定を定款に定めること
③解散したときには残余財産を国・地方公共団体や一定の公益的な団体に贈与することを定款に定めること
④特定の個人又は団体に特別な利益を与えていないこと

医療法人の場合、院長先生が理事長に就任し、奥様と子供が理事に就任しているようなケースが見られますが、一般社団法人でクリニックを開設する場合、①理事の親族等である理事の合計数が理事の総数の3分の1以下であること という規定との関係で、親族のみを役員にすることはできませんので、注意が必要です。

22441652_s.jpg

当事務所のサービス


一般社団法人でクリニックの開設申請をした場合、多くの管轄保健所では、前例がないため、許可した実績がないのが通常です。そもそもそんな話は初めて聞いたというケースも少なくありません。

そのため、一般社団法人設立後に相談に行ったとしても、「クリニックは医療法人で開設することが必要」とか、「今までそのような前例がないので許可できない」等と言われ、相談の受付すらされない例も珍しくありません。

でも、ご安心ください。

当事務所では、自力でやろうとして無理な場合でも、医療法務の専門家としての経験、ノウハウを生かし、一般社団法人設立による医療機関の開設を成功させております。

あくまで現在は医療法人設立を行わずに法人化する裏技的手法ですので、最初は大変ですが、メリットはかなり大きいと思います。

一方、このような一般社団法人での医療機関開設数が増えていった場合には厚生労働省や保健所は新しい通達や規則を作成し、基準を今よりも厳しくしたり、今後の一般社団法人での医療機関開設を禁止する方向に行く可能性があります。

ですので、今後は規制がかかる可能性がありますので、法人化の予定がある場合は、早めにすすめていったほうがいいかと思います。

当事務所では、一般社団法人設立によるクリニックの法人化の相談を随時お受けしておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

3715d1232ce501d2a4fa498e5e5ab8ef_s.jpg

header_tel_eibun_545x160.png

メインメニュー

Copyright© 大阪医療法人設立センター All Rights Reserved.